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林 浩孝*; 和田 成一; 舟山 知夫; 鳴海 一成; 小林 泰彦; 渡辺 宏*; 古田 雅一*; 上原 赫*
Journal of Eukaryotic Microbiology, 51(3), p.321 - 324, 2004/06
被引用回数:5 パーセンタイル:6.62(Microbiology)宇宙ステーションのような閉鎖系での食糧確保と二酸化炭素の吸収,酸素の供給に最も有望な生物種の一つであるユーグレナに対し、模擬宇宙線としてさまざまなLET値を有する重イオンビームを照射して放射線抵抗性を調べた。最も致死効果の高いLET=196keV/mのイオンビームに対しても40Gyまでの線量域では生育に影響がないことから、宇宙基地での利用が可能であることがわかった。照射後生存率におけるRBE(生物学的効果比)のLET依存性を調べた結果、ユーグレナ細胞は哺乳動物細胞や植物細胞とは異なる放射線応答機構を有することが示唆された。
Assefa, Z.*; 矢板 毅; Haire, R. G.*; 館盛 勝一
Inorganic Chemistry, 42(23), p.7375 - 7377, 2003/11
被引用回数:11 パーセンタイル:36.73(Chemistry, Inorganic & Nuclear)6-メチル-2-(2-ピリジル)-ベンゾイミダゾール(biz)は、溶液中でアクチノイドと容易に錯形成するとともに、高効率に配位子-金属分子内エネルギー移動特性などを示すことが新しく見いだされた。エネルギー移動過程はCm(III):Biz系では、non-radiativeモードで、Am(III):Biz系ではおもにradiativeモードで進行することなどがわかった。
杉山 智之; 更田 豊志
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(10), p.877 - 886, 2000/10
反応度事故条件下における高燃焼度燃料破損時の機械的エネルギー発生について、その支配的要因を、NSRR実験結果に基づいて論じている。過去の高燃焼度燃料実験より、比較的低い発熱量条件で燃料が破損し、その際燃料が溶融に至ることなく微粒化することが知られていた。今回、機械的エネルギー発生要因として「燃料棒からの高温・高圧ガス放出」及び「被覆管開口部から放出された燃料微粒子と冷却材との熱的相互作用による蒸気発生」を定量的に評価した結果、前者の寄与は機械的エネルギー計測値に及ばないのに対し、燃料/冷却材相互作用は十分な量を発生し得ることが明らかになった。また、高燃焼度燃料微粒子を模擬した未照射粉末燃料を用いた分離効果実験により、溶融しない場合でも十分に大きな機械的エネルギーが発生すること、及び機械的エネルギー転換率が燃料微粒子の比表面積すなわち平均粒径に依存することを明らかにした。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 橘 宏行
JAERI-Conf 2000-001, p.310 - 313, 2000/03
3-45MeV/amuイオンビームの0.005~200kGyの線量測定を目的として、低LET放射線(Co-線またはMeV電子線)について応答特性を既に明らかにした、アラニン、三酢酸セルロース(CTA)等厚さ10-200mのフィルム線量計の応用を行った。まず、ファラデーカップ(FC)を用いたフルエンス測定値の精度を、フルエンスの均一な照射場における熱量計との同時計測により評価した。この結果、数nA/cmレベルで両者の比は1.022%でいずれのむイオンビームについてもよく一致した。次に、FC計測に基づき応答の直線性ある線量域でフィルム線量計を照射し、その応答を低LET放射線の場合と比較した。いずれの線量計も高LETになるに従い応答が徐々に低下する傾向をそれぞれ4%以内の精度で同様に示した。これから、低LET放射線で構成したこれらのフィルム線量計が、適当な補正を加えることによりイオンビームにも応用可能であることを明らかにした。
阿部 健*; 斎藤 究*; 藤 健太郎; 小嶋 拓治; 酒井 卓郎
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.103 - 105, 1999/10
イメージングプレート(IP, 組成BaFBr:Eu)を用いてサイクロトロンから得られるイオンビームの線種、エネルギー弁別測定技術を開発するため、輝尽発光のLET特性の機構に関する研究を行った。この結果、IPの励起スペクトル応答における線種・エネルギー依存性が、入射イオンの蛍光体層への侵入深さによるものだけでなく、特に重イオンでは入射イオンのLET効果にもよることが、スペクトル成分の分離解析によりわかった。また、このLET効果は、IP中のBr及びFのFセンターのレベルに相当するスペクトルに現れていることが明らかになった。さらに、1kGy以上の線量域における輝尽発光量の低下は、基材のポリエチレンテレフタレートの劣化でなく、輝尽発光体の損傷によることがわかった。これらにより、IP応答のLET特性及びその機構をほぼ明らかにした。
小嶋 拓治; 須永 博美; 瀧澤 春喜; 橘 宏行
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.100 - 102, 1999/10
345MeV/amuのイオンビームのフルエンス測定について、これまでに総電荷量5nc/cm以上では2%の高い精度が得られている。これに基づき、ファラデーカップのサプレッション電圧の最適化や非照射時の暗電流評価を行い、これ以下の電流域についても2%以内の精度が得られることを明らかにした。また、4種のフィルム線量計のLET特性を低LET放射線の場合に規格化して整理することにより、低LET放射線で得られる校正曲線への補正係数を4%以内で与えた。これにより、これまで着色量等の分布でしかなかった情報を線量分布として表すことが可能となった。このため、積層フィルム中の深度線量分布測定などの応用を進めている。
小嶋 拓治; 須永 博美; 滝沢 春喜; 橘 宏行
IAEA-TECDOC-1070, p.197 - 202, 1999/03
TIARA AVFサイクロトロンからの5~20MeV/amuイオンビームを対象とした吸収線量測定を目的として、ファラデーカップ、全吸収型熱量計及びフィルム線量計といった測定システムの開発を行った。リアルタイムのビームモニタに用いるファラデーカップによる粒子フルエンス測定における不確かさを、粒子エネルギー公称値をもとに算出した評価値と実測値を比較することにより評価し、数10pA/cm(電荷測定値にして数nc/cm)レベルの低フルエンスであっても、平均の/は1.02であることを明らかにした。このフルエンス測定に基づき、アラニンフィルム及びラジオクロミック(FWT-60)測量計のイオンビームに対する線量応答特性を調べた。低LET放射線の場合に比べ、これらの線量計の相対線量応答は線量計素子中の変化を考慮して求めた平均質量衝突阻止能が約100MeV/g/cm以上から減少する傾向を示した。
杉山 智之; 更田 豊志; 石島 清見
Proceedings of 7th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-7) (CD-ROM), 10 Pages, 1999/00
本報告では、NSRR照射済燃料実験JMH-5及びTK-2の結果に基づき、反応度事故条件下における高燃焼度燃料破損時の機械的エネルギー発生について論ずる。HBO-1実験に代表されるPCMI破損例では、被覆管縦割れ及び燃料微粒子化が生じ、冷却材中で衝撃圧力が発生した。しかし、機械的エネルギーの発生については未確認であったため、新たに水塊速度計を備えた照射済燃料実験を実施した。その結果、JMH-5及びTK-2実験においてPCMI破損時の機械的エネルギー発生を観測した。その発生要因として、被覆管からの高温・高圧ガス噴出、及び燃料微粒子/冷却材の接触による蒸気発生を検討したが、過渡記録及び燃料照射後試験結果から、後者がより支配的であるとの結論に達した。また、燃料溶融なしでも燃料/冷却材の接触で機械的エネルギーが発生し得ることを、粒子状の未照射燃料を用いた実験により確認した。
阿部 健*; 小嶋 拓治; 鈴谷 卓之*; 村上 泰朗*; 斉藤 究*; 藤 健太郎*; 酒井 卓郎; 武部 雅汎*
Radiation Detectors and Their Uses, p.323 - 328, 1998/00
異種放射線混在場における線種・エネルギー弁別画像計測技術を確立するため、イメージングプレート(IP,輝尽発光体:BaFBr:Eu)の放射線応答特性を調べており、既にX()線、電子線及び軽イオンビームに関しては、IPに含まれる色素の効果や放射線の飛程のちがいを利用した弁別方法を見出した。今回はより高い線エネルギー付与(LET)をもつKrまでの重イオンに対する応答特性を調べた。照射後のIPの光励起スペクトルは、500及び600nmにおいてそれぞれF及びBrの色センターに起因するピークをもつが、これを近似関数を用いて成分分離すると他にも小ピークがあり、これらの存在と強度変化が元のピークの位置や形を決めていることが新たにわかった。さらにこの成分がフェーディング挙動に関連することが示唆された。また照射後光ブリーチングを行うと、ピーク成分が個別に励起光強度に依存し、この現象が機構解明に結びつくことが考えられた。
C.Degueldre*; 高野 公秀; 大道 敏彦; 福田 幸朔; P.Heimgartner*; T.Graber*
JAERI-Research 97-087, 19 Pages, 1997/11
ジルコニアベースのイナートマトリクス及び模擬燃料材の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定し、モデル化した。測定対象は、イットリアとエルビアの一方もしくは両方を含む二元系および三元系、さらにトリアもしくはセリアを加えた四元系とした。添加物による格子定数への影響、酸素原子空孔の大きさと密度を考慮に入れて熱伝導率をモデル化した。モデル化において、格子定数の実測値と、モデルから得られた値を比較検討した。室温から950Kにおいて、ジルコニアとイットリア、エルビア及びセリアとの各固溶体の熱伝導率は、約2W・m-Kであった。これらの均質中のエネルギー輸送について、フォトン伝導とフォノン伝導に基づいて検討した。
西村 昭彦; 柴田 猛順
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(9), p.905 - 911, 1995/09
被引用回数:2 パーセンタイル:28.12(Nuclear Science & Technology)原子法レーザー同位体分離(AVLIS)では、原子蒸気発生のために電子ビーム蒸発が使用されている。このプロセスの数値計算のために、直接シミュレーションモンテカルロ(DSMC)法を改良した。DSMC法に単純統計モデルを組込むことで、蒸発原子の並進運動と準安定準位間のエネルギー移動を表現した。Gdの5つの準安定準位を計算対象にした。計算結果とレーザー吸収分光法により求めた実験結果との比較により、準安定準位と並進運動間のエネルギー移動が生じるのは衝突ペアの全エネルギーがあるしきい値を超えた場合であることが判明した。本計算コードを改良発展させることで、原子法レーザー同位体分離の蒸発プロセス全体を把握できることが期待できる。
丹澤 貞光; 小林 晋昇; 藤城 俊夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(4), p.281 - 290, 1993/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)軽水炉の運転状態を模擬した高温高圧の冷却材条件下で、反応度事故(RIA)時のPWR型燃料棒の過渡挙動を調べる実験を実施した。実験では試験燃料棒を原子炉安全性研究炉(NSRR)でパルス照射することにより、反応度事故時の過渡出力の発生を模擬して行なった。試験の結果、高い外圧の下で被覆管のつぶれが発生したが、基本的な初期燃料破損のメカニズム及びしきい値となるエンタルピは、大気圧、室温及び静水条件における試験で得られた値と同一であることが明らかになった。
中島 幹雄; 荒殿 保幸
Radiation Physics and Chemistry, 41(3), p.461 - 465, 1993/00
被引用回数:20 パーセンタイル:85.09(Chemistry, Physical)モレキュラーシーブ3Aおよび4Aに吸着した水の放射線分解を調べ、すでに報告した5Aの結果と比較した。ゼオライトに吸収されたエネルギーの吸着水へのエネルギー移動効果により、生成水素量の増感効果が見られたが、3Aは4A、5Aに比べてその効果は小さく、異なる吸着水量依存性を示した。この原因はゼオライトにイオン交換担持されている金属カチオンの大きさに起因するものと推察され、水分子とカチオンとゼオライト骨格の酸素イオンとの相互作用の大きさが重要な役割を演じていることが分かった。
松田 光司; 藤田 岩男*; 耒島 利幸*; 佐藤 義幸*; 畑田 元義
Applied Radiation and Isotopes, 42(12), p.1223 - 1229, 1991/00
一酸化炭素-ヘリウム混合気体をバンデグラフ電子加速器からの電子線で照射し、生成したCO及びCOの励起状態からの発光スペクトル強度を、圧力等の関数として調べた。実験結果は、簡単な競争反応の組み合わせと、定常状態の仮定から導かれた式とよい一致を示した。
中島 幹雄; 立川 圓造
Appl.Radiat.Isot., 37(6), p.527 - 530, 1986/00
シリカゲルに吸着されたトリチウム水の自己放射線分解による、水素ガスの発生を調べた。水素発生の見かけのG値は、水の放射線分解から予想されるより大きく、シリカゲルからのエネルギー移動による増感効果を示した。エネルギー移動効果による水素発生量はCo-線照射の場合と同様に、シリカゲル表面の水酸基濃度と吸着層の関数として表すことができ、線照射と自己放射線照射との間に大きな差は見られなかった。
河西 俊一; 萩原 幸
Radiation Physics and Chemistry, 27(1), p.65 - 70, 1986/00
有機高分子材料が放射線照射環境下で使用される機会が増大し、その耐放射線性付与技術の確立が重要な研究課題となってきている。高分子の耐放射線性の向上に、芳香族化合物の添加が有効であることはよく知られているが、作用機構については不明な部分が多い。我々はこの作用機構の解明の一端として、励起エネルギー移動による安定化に注目し、芳香族化合物を添加した高分子の発光挙動の研究を進めている。本論文では、電子線照射下で高分子の励起発光を測定する装置の試作とその概容を報告する。また、芳香族化合物として、アセナフテン、およびアセナフチレンを種々の合成高分子(エチレンプロピレンジエン共重合体、シス-1,4-ポリブタジエン、およびスチレンブタジエンゴム)に添加した系での励起エネルギー移動の確認と、その高分子依存性について述べる。
萩原 幸; 河西 俊一
日本ゴム協会誌, 58(11), p.698 - 705, 1985/00
合成ゴムに対する芳香族化合物の放射線保護作用を、筆者らが最近行った発光挙動の研究の成果をもとに解説した。また実用耐放射線性助剤である臭素化アセナフチレン縮合体のモデル物質を添加した時高分子系に生じるエネルギートラップサイトの特徴を説明した。さらに現在、精力的に行なわれている芳香族化合物の励起状態に関する研究を紹介し、耐放射線性との関連を述べ、将来の研究の方向を考察した。
河西 俊一; 萩原 幸; 勝村 庸介*; 田畑 米積*; 田川 精一*
Radiation Physics and Chemistry, 26(6), p.705 - 713, 1985/00
芳香族化合物を高分子に添加した時、放射線安定性が増す。この作用機構を解明するために、アセナフテン(At),アセナフチレン(Ay)を添加したEPDMゴムで、ピコ秒パルスおよび定常電子線照射による発光挙動を測定し、系中の励起エネルギー移動過程を調べた。AtまたはAyの添加によって、非常に速い速出で高分子の励起エネルギーを移動し、効率よく光として放出するAT発光バンドを生成することがわかった。さらに芳香環を有するDCPで架橋すると、400nmにメルバンドを生成し安定性が増す。また重合性のAyの場合、AgのエキシマーバンドがXu,ATより低いレベル(450nm)に生成し、高分子鎖にグラフト重合することによるエネルギー移動の効率が良くなることと合わせて、Atよりも耐放射線性助剤としてすぐれていることがわかった。
清水 雄一; 永井 士郎; 畑田 元義
J.Chem.Soc.,Faraday Trans.,I, 79, p.1973 - 1986, 1983/00
モレキュラーシーブ(MS)3A、4A、5A、および13X存在下でメタンを電子線照射し、生成物を分析した。MS4A存在下ではC炭化水素が、またMS5A存在下ではCおよびC炭化水素が選択的に生成する。これらの炭化水素の生成量および選択性は照射時間と共に減少した。メタン存在下で照射後のMSを水素流通下で再び照射すると、低級アルカンを主成分とする炭化水素を生成した。また、原料メタンへ水素を添加して照射すると、炭化水素の生成量の時間的減少が抑制された。これらの結果から、MSの反応活性の低下は、メタンから生成するcarbonaceous solidがMSの細孔内に沈積するためであり、それが水素添加によって抑制されるのはcarbonaceous solidの放射線による水素化分解が起るためであると結論した。
龍福 廣; 佐々木 健; 渡部 力*
Phys.Rev.,A, 21(3), p.745 - 750, 1980/00
水素原子と部分的にストリップされた重イオンの低エネルギー衝突における電荷移動断面積の実験値を解析するために、入射粒子をある有効電荷をもった裸の核におきかえるというモデルを用いてUDWA計算を行なった。その結果、10keV/amu以下の低エネルギー領域において、断面積が有効電荷に対して強い振動依存性を示すことが分った。さらに、この振動依存性はジアバティクポテンシャル曲線の交差から来るものであり、低エネルギーにおいて、BayfieldおよびCrandall他によって観測された断面積が種々の元素(B,C,NおよびO)のイオンを衝突させた場合に非常に異なって来るという結果はこの断面積の振動的挙動に帰着することができることが分った。